佐久間内科小児科医院 二本松市,二本松駅 内科,小児科,心療内科

発達障がい

もくじ

ページ作成にあたり参考とした文献

1)広瀬宏之.発達障害にともなう二次障害とは?.チャイルドヘルス2011 Vol14 No11
2)平岩幹男.自閉症スペクトラム障害―療育と対応を考える.東京:岩波書店;2012
3)奥山眞紀子・氏家武・井上登生.子どもの心の診療医になるために.東京:南山堂;2010
4)吉田友子.高機能自閉症・アスペルガー症候群 「その子らしさ」を生かす子育て.東京:中央法規;2014
5)岡田尊司.子どものための発達トレーニング.東京:PHP研究所;2017
6)NPO法人つみきの会【編】.ABA実践マニュアル 発達障害の子のやる気を引き出す行動療法.東京:合同出版;2015
7)上林靖子監修 河内美恵他編集.発達障害のペアレント・トレーニング実践マニュアル.東京:中央法規;2009
8)上林靖子監修 河内美恵他編集.保育士・教師のための ティーチャーズ・トレーニング.東京:中央法規;2016
9)奥田健次.メリットの法則 行動分析学・実践編.東京:集英社;2012
10)杉山尚子.行動分析学入門-ヒトの行動の思いがけない理由.東京:集英社;2005
11)広瀬宏之.発達障害支援のコツ.東京:岩崎学術出版社;2018
12)小枝達也・関あゆみ T式ひらがな音読支援の理論と実践.東京:日本小児医事出版社;2019

 

「発達障がい」とは

 横須賀市療育相談センター広瀬宏之先生は、発達障がいを以下のように定議されております。
「人が生きていくのに必要なさまざまな能力のうち、いくつかの能力の発達が遅れ、その結果として日常生活のなかでうまくいかないことが生じている状態」。

 発達障がいは、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、学習障害などをさす場合がほとんどです。知的発達の遅れのみの場合は「精神遅滞」として、発達障がいとは分けて対応されることが多いようです。
 下図に、代表的な発達障がいを示し、以下にそれぞれの特徴を簡単に記します。

佐久間内科小児科医院 発達障がいについて


 一人の子どもに、何種類かの発達障がいが重複してみられることもあります。それぞれの発達障がいの境い目がはっきりしているわけでもありません。
それ故に、一人一人の子どもが必要とする支援を、いろいろな角度からみていくことが大切なのです。

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精神発達遅滞(知的障害)

 知的発達の遅れがあり(知能指数70以下)、生活全般において適応能力が乏しいと判断される場合を指します。

 知能指数は WISC(ウイスク)田中ビネー知能検査などの発達知能検査で算定されますが、数値のみで断定すべきではありません。あくまで、全般的な生活能力を踏まえて判断すべきです。特に学校現場では、数値ばかりが先行する傾向が、多々見受けられます。

 診断がつけば、必要に応じて、個別的な支援や指導が受けられる教育環境の整備体制が重要となります。

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自閉スペクトラム症

 人との関わり方ややり取り(=コミュニケーション能力)、集団の中での行動(=社会的適応能力)、切り替えや応用力やこだわり(=想像力)の3点に難しさがある場合です。
 コミュニケーション能力に難があるため、知的な部分や言葉に遅れがみられることがあります。そのため、発達知能検査では数値が低めに出る傾向があります。しかし、数値だけで能力の全てを判断すべきではありません。その子の持つ「得意な部分」を見つけ出すことが大切です。
 アスペルガー症候群や高機能自閉症では知的障害を伴わないか、極めて軽度、逆に高い知的レベルのケースもみられることがあります。自閉症といいますと、以前は「広汎性発達障害」としてひとくくりにされてきましたが、いろいろな症状や状態があることがわかってくるにつれ、最近では「自閉症スペクトラム」という表現が用いられるようになりました。スペクトラム(Spectrum)とは「連続体」という意味です。基本的な特性は共通する点があるにしても、それぞれの子どもが全て同じ症状・状態を示すわけではなく、多種多様な「広がり」を持つという意味での「自閉スペクトラム症」なのです。

 コミュニケーション障害や社会性障害により、他人の気持ちや暗黙的なルールの理解が難しく、集団行動が苦手などの特徴がみられます。先の見通しがつきにくく変化や変更への適応が苦手、特定のモノに対する強いこだわりや反復的な行動、興味やパターンが限られているなどの特徴は、想像力の障害によるものです。
 物事の特有の解釈や感覚の受け止め方など、その子ども本人の発達上の特徴を周りの大人たちがきちんと理解し、本人の目線で対応することや、混乱を少なくする工夫が何よりも大切となります。

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カナー型

 古典的な自閉症と云われるタイプです。言葉の遅れがあったり、人への関心がなく、自分だけの世界に没頭し、たとえ親であっても干渉されることを極端に嫌います。

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アスペルガー症候群

 言葉の遅れが少ないか、まったくみられないタイプの自閉症です。発達の凹凸が激しく、○○は出来ないが△△をさせると素晴らしい力を発揮することが特徴の一つです。相手の気持ちを汲み取ることや、自分の想いの伝え方が一方的であったりするために、対人関係でトラブルとなることもよくみられます。

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注意欠如・多動症

 すぐ気が散る、忘れっぽいなどの「不注意」、落ち着きがない、飽きっぽいなどの「多動」、突然何をし出すか予測不能などの「衝動性」を特徴とします。小学生の3~5%に認められると云われ、3歳以下の子どもでは皆この傾向があります。小学校低学年では男の子に多く、主に多動と衝動性がみられます。高学年になると、女の子に不注意の形で多くみられるようになります。

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学習障害

 知的発達の遅れは認めないものの、読み書きや計算など、特定の学習過程に苦手さがあり、修学上の困難をきたすものです。最近では、「限局性学習障害」とも呼ばれます。注意欠如・多動症など、他の発達障がいに併存することも比較的多くみられます。
「読みの苦手さ=読字障害(ディスレクシア)」が最も多く、下記2点を特徴とします。

 

音韻障害(おんいんしょうがい)

 字面(じずら)と音声が一致しない。
 「きゃ」を「き・や」、「がっこう」を「がつこう」
 「ヘリコプター」を「へこりぷたー」と読んでしまうetc

逐次読み(ちくじよみ)

 文章をすらすら読めない。
 単語をひとつひとつ、たどたどしく読む。

 知的には問題なく、会話や日常生活は普通に過ごすために、学校の教育現場では読めないことや読み間違いを、(教師が)注意力不足と誤解してしまうことが多々あります。
 逐次読みにしても、すらすらと読めないだけで時間をかければ読めることは読めるので、ディスレクシアとは認識されません。
「のんびり読む子なのかな」程度にしか思われません。

 本人としては、字面を追いかけることに必死なのです。書いてある内容も、読んでいる意味も頭に入ってはいません。
修学とか、勉強ができるできない以前の問題です。教師が黒板に書く文字さえ理解できず、ましてそれをノートに写すなど至難のワザ。

それでも、理解力や記憶力は普通(もしくは普通以上)にあります。考える力はあります。
そこに、ディスレクシア、学習障害の「辛さ」があります。
埋もれているディスレクシアを早く見出し、適切な診断と支援をはじめることが何より必要です。
当院では、診断のための「音読検査」と、支援については国立成育医療研究センター 小枝達也先生が提唱されている「T式ひらがな音読支援」を行なっています。

 以前まで。学習障害は学校などの教育分野で対処すべきものと思い込んでいました。
 そうではなくて。
 ディスレクシアこそ早急な支援が必要であることを小枝先生から教えていただきました。
 その上で。
 子ども本人の学習パターンに合った指導と柔軟な対応をすること、得意分野を伸ばし、ほめることで自信を持たせることを目指します。

 

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発達性協調運動障害

 年齢や体格に比べ、不釣り合いに思えるほど身体の動きが不自然な状態を意味します。
 字を書くなどの「微細な運動」が苦手な場合と、走るなどの「粗大な運動」が苦手な場合があります。もちろん、両方とも苦手というお子さんもいます。
 自閉スペクトラム症や注意欠如・多動症のお子さんにみられることも多いと云われています。

微細運動障害

 字を書く以外にも、ハサミを使うことや折り紙を折ったりすることも不得意ですので、「不器用」と呼ばれることが多くなります。図工や音楽など、指先の器用さを求められる場面では辛い思いを抱き、国語や書写の書き取りの時間にも苦痛を強いられることになります。

粗大運動障害

 時代遅れの言い方かもしれません。俗に「運動音痴」と呼ばれたケースが当てはまるかと思います。
 単に「走る」だけでなく、キャッチボールや縄跳び、跳び箱のような場面では、身体のバランスを保ちつつ身体を思い通りに動かすことができません。体育の授業や運動会は、最も「嫌な」時間となります。体育に限らず、日常の生活の上でも多々不便を感じることが大となります。

 微細運動障害にしても粗大運動障害にしても、できないことが本人の自尊感情を損なわないように周囲が向き合うことが大切です。これは、発達障がい全般に云えることかもしれませんが。

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情緒障害

 文部科学省では、「情緒障害とは、情緒の現れ方が偏っていたり、その現れ方が激しかったりする状態を、自分の意志ではコントロールできないことが継続し、学校生活や社会生活に支障となる状態をいいます」と定義しています。

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/004/007.htm

「キレやすい」、何かというと暴言・暴力を振るう、落ちつきがなく集団行動が出来ない、人とのコミュニケーションがうまく取れず、好ましい人間関係を築くのが苦手などの問題行動がある場合などに、主に学校現場で用いられる名称です。知的能力も言葉の力も劣っているわけでもなく、実際に家庭では普通に話している割に、学校に来た途端一言も話せなくなってしまう「選択性緘黙」も、情緒障害に含まれます。
 そもそも、「情緒障害」という診断名はありません。問題行動を起こしている「状態」を指しますので、実際は自閉スペクトラム症であったり、注意欠如・多動症による落ちつきのなさであったりすることも多々あります。根底に家庭内暴力や虐待が隠れている場合もあり得ます。

 自閉症や注意欠如・多動症に限らず、子どもにとって大切なことは「環境調整」にあります。自分をコントロールすることが苦手な「情緒障害」の場合はなおさらでしょう。
 そのため「特別支援教室」を設置し、その子どもに合った環境設定を目指す小学校や中学校が最近は増えてきました。

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発達障がいと問題行動

 発達障がいとされる子どもも、発達障がいではないとされる子ども(=定型発達児)も、「落ちつきがなくなる」、「すぐキレる」など、いわゆる「問題行動」とされる困った状態に陥る場面は、多かれ少なかれ見られるものです。そのような時にどう対応すればいいか、一般的な内容は「子育て支援」のページの「発達支援」に書かせていただいた通りです。
  ここでは、問題行動がどのような理由で起きるかを考えてみます。

問題行動について

 上記①〜④が、問題行動の成因、成り立ちと云われるものです。何かしら欲しいものがある時、して欲しいことがある時、子どもは要求を通そうと、何回もしつこくせがんだり、泣いたり、極端な場合には「逆ギレ」することもあります。デパートのおもちゃコーナーで、やたら大声でがなり立てている子どもは、ほとんどはこのパターンでしょう。要求の実現です。

 好きではない科目の授業の時間になるとフラフラと席を立ち、何も言わず教室から出て行く子どもがいます。自分にとっては「嫌な時間」だから逃げようとするのも、理由の一つかもしれません。回避です。苦手とするクラスメート、教師が近づいて来た時、突然相手の足を蹴ったりツバを吐くなどの場合も、嫌いな相手からの回避と言えるでしょう。

 みんなで静かに授業を受けている時、突然大声を上げたり、意味もなく歌い出したり、ひどい場合は隣の席の子どもを突き飛ばしたりする子どももいます。教師は当然、「〇〇くん(ちゃん)、何をするの、止めなさい!」と、叫ぶか怒鳴るかします。ですけどね、それで問題行動は収まりません。むしろ、ますますエスカレートします。嬉しいんです。何十人かいるクラスの中で、自分だけが大好きな先生の注目を浴びることが。これが、注目を集めたいための行動です。

 4つめの感覚刺激とは、手をブルブル震わせると気持ちがいいとか、クルクル廻っているものに見入っているとなんだか落ちつくとか、自分の行動が快感を引き起こしている場合です。手をブルブルさせることが必ずしも問題行動に結びつかないこともありますが、学校での集団生活では「和を乱す」ことにもなりかねません。みんなで何かをしなければならない場面で、「ひとりクルクル」で困るのは周りの子どもたち、ということになります。

 発達障がいとされる子どもたちの問題行動では特に、「何故それをするのか」の成り立ちを考えることが大切と思います。必ず、この4つのうちのどれか、あるいはいくつかが当てはまる筈です。それが判れば、解決の糸口が見つかるかもしれません。見つからなくとも、その子を理解する手助けとなるでしょう。
  問題行動をただ「問題」として終わらせることなく、成因や成り立ちを見極める。その姿勢を忘れてはいけないと思います。

二次障害について

 自閉スペクトラム症に限らず、発達障がいの子どもたちは、独りでは周囲とうまく関わりを持つことが苦手です。身近にいる大人がその子を理解し、その子に合った環境をつくってあげなければ、モノや人にあたる、暴力をふるう、脱走する、自傷行為や不登校などの、問題行動を起こすことがあります。それを「二次障害」とよびます。その子なりのSOS、息苦しさを訴える「心の叫び」とも考えられます。自尊感情の低下が引き起こした問題行動に他なりません。

  二次障害そのものが、その子の本質と見間違われる場面も多くあるようです。自閉症であるから暴力的、何をしでかすかわからない。そんな風に思われている方も割とよく見受けます。大きな誤解です。
  予防のためには、教育や福祉、医療関係者と保護者との連携が重要となります。
  発達障がいの子どもとの関わりの中で最も重視すべきは、「二次障害を起こさない」ことにあると考えています。

不登校

 学校に行くべき年齢であるに関わらず、「(年間で30日以上)学校に行けない状態」を不登校と呼びます。小学校から中学校、高校、大学と「段階的な」学校があり、小学校から中学校までは「義務教育」とされています。

 行くべき年齢なのに行かないとなると、何故行けないのか、行かないのか、が問題となりがちです。学校としても、登校しないのでは困る、親も周りの保護者も学校に行ってもらわないのでは将来が不安だ、外聞が悪い、ということになります。

 まずは、子ども本人の「行けない(行かない)理由」がどこにあるのか。
 理由がないのに行けないのか。行かないのか。本質を見極めることが大切です。本質を見極めず、周囲の大人が不登校を罪悪視する現状が多々見受けられます。

 当院では、下記4パターンに分け対応しています。

行けない理由がある場合

 行けない理由がある場合のA、B群であれば、行けない理由の解決が何よりです。ただし、理由としてよくあるのが「担任の先生が嫌い」とか「クラスにイヤな子がいる」、「クラスの雰囲気が自分に合わない」、あるいは「いじめ」です。
 行けない理由の解決とはいえ、年度内でクラス担任が変わることは(担任が休職でもしない限り)あり得ません。クラス編成の変更も絶望的に無理でしょう。

「いじめ」があるとなれば、学校が真剣に向き合うべき問題です。「いじめ」の実態を把握しようとせず、いじめの訴えを「本人の思い過ごし」で片付けようとする学校もあります。
「いじめを受けた」と子どもが感じれば、それは「いじめ」と認識されなければなりません。社会的に問題となる「ハラスメント(=嫌がらせ)」も同様です。

 行きたい気持ちがあるA群ならば、どうすれば行けるようになるのか、打開策を考えたいものです。学校との連携が必要です。打開策が見当たりそうにない「理由」であるにしても、親も教師も解決のために子どもと向き合う、解決を目指す姿勢を子どもにわかってもらうことが大切と思います。
 苦しんでいる子どもほど、大人の対応を静かに、じっと観ているものです。
 B群の場合も、打開策が見つからなければ行けるようになる筈がありません。まずは親と学校、当院のような医療機関、皆が連携することでしょう。

行けない理由がない場合

 登校したい気持ちがあるC群にしても、ないD群にしても、登校出来ないのであれば、(登校を)無理強いすべきではありません。行けない理由がなくとも、とにかく行けないのが現状です。
 行けない現状を受け入れる対応が大切と思います。行けない理由を周囲の大人本意で「詮索」するのは、最も避けるべきことです。

 行けないままでいいのかと、親であれば思うでしょう。このままひきこもりになるのではないかと。
 そんな時こそ、子どもを信じることです。信じられているという自信が、いずれ子どもの勇気につながっていく可能性が大です。
 否定せず、強制せず、ていねいに向き合いましょう。

 その上で、子どもの状態を観つつ、適度な登校刺激を試みてもいいかもしれません。たとえば毎日、時間を決めて校門の前まで行ってみる。お母さんなりお父さんと一緒に。おじいちゃんでもおばあちゃんでもOKです。校舎に入らなくともいい、行くだけ行って、そのまま帰ってくる。
 登校とは言えなくとも、「学校に行った」という行動の繰り返しが、何かしらのきっかけにつながることを期待したいものです。

忘れてはいけない大切なこと

 どのパターンにしても、つまるところ対応に大きな違いはありません。本質的には同じなのです。
 大切なことは、子ども本人の気持ちを聞く、訊く、聴くことに重点を置き向き合うこと。

「聞く」、「訊く」は出来ても、「聴けない」大人が実に多いのが現状です。
 ペアレント・トレーニングで紹介した「傾聴の姿勢」、心の声を「聴く」ことを心がけたいものです。

 また、不登校状態だからこそ、生活リズムが乱れないようにしたいものです。
 朝起きる、ごはんを食べる、夜には寝るといった行動パターンを定着化することが肝心です。その上で、校門まで行って帰ってくるなどの行動の繰り返しがつけ加えられることが理想です。

 どんなことでもいいんです。簡単で出来そうなこと、具体的なことを「課題」として持つことが、問題の解決につながることが多々あります。
 しかし、D群については心が疲れきっている子どもがほとんどなので、課題提示には慎重でなくてはなりません。

 最後に。
 小中学校の先生の中に、
「義務教育なので学校に来ることは義務です。不登校は間違っています」
 と、堂々とおっしゃる方がごくまれに時々おります。

 それこそ、明らかに間違ったご発言です。義務教育の義務は、子どもに教育を施さなければならない義務です。子どもが、必ずしも学校教育を受けなければならない義務ではありません。

 誤った解釈が子どもを苦しめる場面を、幾度となく目の当たりにしました。
 正しい解釈が、全ての学校に定着することを願います。

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子どもの心理発達知能検査について

 子どもの心理や発達の評価は、口で云うほど簡単なものではありません。極普通に成長している「定型発達児」でも、何かしらの障がい(しょうがい)を持っているのかと疑うような症状をみせることもあります(子育て支援のページ、「発達支援」を参照)
ここでは、こどもの心理発達を評価するために、当院で行っている検査のいくつかを紹介します。
その前に、誤解していただきたくないことがあります。心理発達の評価については、検査がすべてではありません。検査の結果のみで「(発達が)遅れている」などと断定するのは非常に危険です。子どもの生活パターンや全体的な学習能力の観察を主体とした上で、検査結果はあくまでも補助的なものとして考えるべきでしょう。

遠城寺式・乳幼児分析的発達検査法

 検査の対象年齢は0歳から4歳8ヵ月までです。①移動運動、②手の運動、③基本的習慣、④対人関係、⑤発語、⑥言語理解の六つの領域から成り立っています。
子どもの様子を観察し、何がどこまで出来るか、あるいは保護者からの聴き取りにより各領域の発達レベルを割り出します。
積木やミニカー、太鼓などのおもちゃ、布や鉛筆、画用紙などがあれば簡単に行える手軽さがある一方で、小さい子になるほど、与えられた課題にとりかかることが難しいため、結果の判断には困難さを伴うことが多々あります。

津守・磯部式乳幼児精神発達診断法

 検査の対象年齢は3歳から7歳までです。①運動、②探索、③社会、④生活習慣、⑤言語の五つの領域から成り立っています。主に保護者からの聴き取りにより発達レベルを割り出します。
五つの領域に関して細かい情報が得られる利点がありますが、聴き取りに時間がかかること、保護者の主観が入りやすい難点があります。 

S-M社会生活能力検査

 検査の対象年齢は1歳から13歳までです。①身辺自立、②移動、③作業、④コミュニケーション、⑤集団参加、⑥自己統制の六つの領域から成り立っています。
それぞれの領域についてのみでなく、総合的な「社会生活年齢」や、実際の年齢(生活年齢)と対比した「社会生活指数」を割り出すことが出来、有用な情報が得られます。ただし、津守・磯部式と同様、保護者からの聴き取りが中心のため、保護者の主観が入りやすいのが難点です。 

田中ビネー検査

 検査の対象年齢は2歳から成人までです。フランスのビネーが考案した知能検査をもとにつくられた「スタンフォード改定案」を基礎に、日本の故田中寛一が開発した検査です。
現在ある知能検査は、ビネー系検査と後述のWISC-Ⅳに代表されるウェクスラー系検査に大きく分けられると云われています。

 はじめての「田中ビネー知能検査」が完成したのは、昭和18年(1943年)、今から70年も前のことになります。以後、数回の改定を重ね、現在は「田中ビネー知能検査Ⅴ」となっており、日本の知能検査としてはもっとも広く行われている検査法です。

 検査は、写真のような6冊のカード集、23種類にも及ぶ用具類、それに記録用紙、テスティペーパーなどを用いて行います。
年齢ごとに問題が決められており(年齢級別問題)、生活年齢(子どもの実際の暦年齢)に合わせた年齢級から開始することになっております。

 検査の結果から、子どもの精神年齢、知能指数(IQ)を算出します。
また、問題は「絵の認知に関するもの」、「数の概念に関するもの」、「ことばや文章に関するもの」などに分けられているため、子どもの得意分野、不得意分野を客観的に把握することができます。それが、検査後の子どもの支援に向けての手がかりとなります。

 田中ビネー検査というと、IQの算出だけが目的のように思われがちですが、そんなことはありません。
子どもの成長を促し、見極めるための手段の一つと考えます。

WISC-Ⅳ(ウイスク-フォー)

 検査の対象年齢は5歳から16歳11ヵ月までです。アメリカのウェクスラーによって開発された児童用の知能検査で、世界でも広く利用されています。日本語版は1953年に発表され、その後改訂を重ね、現在は第4版となっています。

 検査は問題冊子と記録用紙、ワークブックを用いて行います。子どもの知的能力をみる上で、信頼度はかなり高い検査です。
難点は、最低でも2時間程度の時間がかかることです。検査を受ける子どもさんの集中力と、やる気をなくさせない工夫が何より必要となります。

 WISC-Ⅳでは「全検査IQ」と四つの指標得点を算出します。全検査IQは全体的な知的発達水準を表します。俗に云う「知能指数(IQ)」とほぼ同じ意味です。70~75未満が知的障がいのレベルと考えられています。

 四つの指標についての意味を示します。人間の知的活動は、耳で聞いた情報(=ことば)で何かをする場合と、目で見た情報(=図形、絵)を用いる場合の二通りに大きく分けられます。ことばを用いる能力をみるのが「言語理解指標」、図形や絵の認識能力が「知覚推理指標」ということになります。また、短期的な記憶や集中力を「ワーキングメモリー指標」、作業の早さや処理能力を「処理速度指標」として表します。
実際には後に述べますように、もっと複雑な内容が含まれます。


 WISC-Ⅳでは、全検査IQ と四つの指標得点を算出するために、10項目の基本検査と5項目の補助検査が用意されています。二つ合わせて「下位検査」とよばれますが、全てを行わなければならないわけではありません。10項目の基本検査のみで十分です。補助検査は必要に応じて行います。

 それぞれの下位検査は、四つの指標のうちのいずれかを算出するためにつくられています。これらの下位検査からの「粗点(=検査で得られた得点のこと)」を、子どもの年齢に応じた「評価点」に換算した上でそれぞれの指標得点を算出し、評価点の合計から全検査IQが算出されます。

 一般的な知能とは、図のように10の要素から成り立っているというのが最新の考え方です。
図の左にある「結晶性知能」とは知識力や理論的な能力を指し、いわゆる「左脳」が司ります。
「流動性知能」とは推理力やひらめき、芸術的な能力であり、いわゆる「右脳」が司っていると云われています。

 CHC理論による知能の要素と、WISC-Ⅳとの関係です。それぞれの指標と主な知能の要素とのつながりがわかりやすく示されています。

 きちんとしたWISCを行うことにより、子どもの能力を的確に把握することが可能になります。
おおまかに云えば、「ことば」と「視覚」に関する能力のどちらが高いかを知るだけでも、子どもへの対応の「仕方」に有用な情報が得られるでしょう。
ここで大切なことは、劣っていると思われる能力を無理に高めようとはしないことです。まずは、得意な分野をさらに伸ばすことを考えた方がよいでしょう。

 それにより自信がつき、自尊感情を高めることを目標にしてこそWISCを行う意味があると考えます。

 時に、WISCを発達障がいの診断のための検査と思われている方がいらっしゃいます。それは大きな間違いです。確かに、WISC-Ⅳの結果により自閉症スペクトラム障害や、注意欠陥/多動性障がいに特徴的なパターンがあるとは云われています。しかし、絶対的なものではありません。

 当院でWISC-Ⅳを行うのは、障がいの診断のためでもIQの算出のためでもなく、あくまで「子どものいいところ探し」であることをご理解ください。
よって当院では、生活や学習面で「困り感」を抱いている子どもさんや保護者のために、WISC-Ⅳを行うことを信条としております。

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発達障がい支援

 発達障がいとされる子どもたちは、いくつかの能力の遅れ(=発達の凸凹)のために、環境への適応が困難となっています。環境適応がスムーズに成されるために、家庭や医療・教育・福祉に関わる周囲の大人たちが何をすべきかを考える。それが発達障がい支援につながります。

特性を見極める

 障がい支援は、子どもの特性を見極めることからはじまります。「特性」といっても難しいものではなく、簡単に云ってしまえば「その子の人となり」。いい面も悪い面もひっくるめてその子を理解し、受け入れましょう。性格や得意なこと苦手なことや趣味、ご家庭や学校生活の様子や成績を含めての諸々が、その子の特性となります。

 知的な面からの特性をみるためには「発達知能検査」が使われます。当院では2歳から5、6歳までは田中ビネー知能検査V、7歳以上になればWISC-Ⅳを行い、知的な面での観察情報としています。

行動分析学

 唐突に「行動分析学」と持ち出しては、驚かれる方も多いかもしれません。人や動物の「行動」を観察した上で判明した「理論」です。アメリカの心理学者スキナーが、動物をはじめとした膨大な実験研究から考え出しました(ページトップの提示文献9、10参照)。心理学にもいろいろな種類の手法や分野があります。私が理解した範囲では、行動分析学とは「行動」の理由を考える上で「極あたりまえのこと」を体系化しているように思います。その「あたりまえのこと」が障がい支援に役立つのです。

「何かしらの行動を引き起こす『原因』は、その行動の前ではなく後にある」が、行動分析学の基本です。上の図で示すように、何もしないで居た時に、偶然でも頼まれたのでもどちらでもいいですから、たまたまお母さんのお手伝いになることをしてみたら予想外にほめられた、とします。なんと、おやつまでもらっちゃったり。そうなると、これはもう本人としては嬉しいわけです。当然、後でまた同じ行動を繰り返そうとします。それが「行動の強化」とよばれるものです。

 逆に、「お手伝い」をしてもほめられもせず、おやつももらえなかったら、どうでしょうか。嬉しくもなんともありません。今後「お手伝い」をしようとは一切思わないでしょう。それが「行動の消去」です。
問題行動について」で挙げた問題行動に対応するために、この「強化」と「消去」の見方・考え方が有用です。

 強化したい行動であれば、その行動の後に「ごほうび」を与えます。「ごほうび」を与えることを、行動分析学では「強化子」とよびます。消去したい行動であれば、「強化子なし」とします。

 そして、上図のような対処法となります。

① 知らんぷり

 子どもの問題行動に対しては、極力「知らんぷり」を決めこみます。強化子がないことでの、「知らんぷり」による消去です。この場合、大切なことが三つあります。

消去バースト

 消去されることにより、問題行動がかえって激しくなることがあります。お母さんと一緒に入ったコンビニやスーパーで、お子さんが欲しいお菓子を見つけたとします。お子さんは買って欲しいとせがむ。お母さんは「買いません」(=消去)。お子さんもそのままでは引っ込みがつきません。さらに「欲しい」を連発します。言葉だけでなく、買って欲しいあまりに大声を出したり、お母さんにしがみついたりするかもしれません。まさしくバースト(=爆発)です。そうなると、それはもはや要求を実現させるための「問題行動」です。

 そんな局面でのお母さんの対応が試されるところです。お母さんが要求に根負けし、お菓子を買ってしまったら。買って欲しいと大声を出す行動は、お子さんにとっての強化子につながります。買って欲しいモノがある時には大声を出すという行動が強化されます。強化された行動は、その後も繰り返されることとなり、コンビニを訪れる度「これ欲しい!買って!買って!」の大騒ぎになることでしょう。

 お子さんがどれほど騒ごうとも、いったん買わないと決めたのであれば、根負けせず「買わないものは買わない」姿勢を貫くことです。

 

知らんぷりするのは行動のみ

 知らんぷりは、あくまでも子どもの行動に対してです。存在は見守ってください。見ていないふりをしつつ、実は見ている。問題行動が止まった時にすかさずほめるためです。ほめられることが強化子となり、問題行動の消去を助けます。問題行動ではない行動に移った時を、出来るだけ見逃さないようにしましょう。現実には難しいのですが、自己トレーニングを続けることで可能となります。

制止が必要な問題行動

 道路に急に飛び出す、兄弟に手を出すなど、子ども本人がケガをしたり、相手を傷つける行動の時は、知らんぷりでは危険です。制止させることが必要となります。「何やってんの、あんたはまったく!」とか、「バカ!」と感情的に怒鳴りつけるのではなく、顔を近づけ目を合わせ、「いけません」と静かに冷静に伝えましょう。怒鳴ったり力で押さえつけようとすれば、子どもは反発するのみです。何を言われても「いけません」を繰り返してください。暴れるようでしたら、抱きしめてください。家の外でも中でも同じです。
 

② 気をそらして他のこと

 正式には他行動分化強化(DRO)と呼ばれます。問題行動の原因が「要求の実現」、「回避」、「注目」、「感覚刺激」のいくつか、またはどれか一つであることがわかり、「強化」と「消去」を応用し対処出来れば何よりです。しかし、そううまくいくとは限らないこともあるでしょう。そんな時のためのDROです。

 問題行動を他の行動に置き換えるのです。例えば、ごはんの時にじっとしていられずテーブルを離れ、お茶碗を手に持ち歩きながら食べるお子さんがいるとします。座っているのが苦痛で歩き回っていたいという要求の実現かもしれませんし、テーブルからの逃避かもしれません。家族の注目を浴びたい、歩き回ることが快感であることもあり得ます。知らんぷりしてテーブルに戻ってきたらほめることを心がけるにしても、改善はなく毎日それが繰り返されるのであればDROを試みましょう。

 まず、「家の中を歩き回って食べる」を、「居間と台所を行ったり来たりして食べる」に置き換えます。それが出来ればほめて、「居間と台所の間の本人の好きな場所にじっと立って食べる」、次に「その場所に座って食べる」、「座る場所を毎日少しずつテーブルに近づける」、そんなやり方はどうでしょうか。かなり根気のいる作業となりますが、冗談半分のつもりで、出来なくて当たり前ぐらいに楽しみながら向き合うといいかもしれません。何事もチャレンジです。

 

③ して欲しくないことはさせない工夫

 これも割と難しい。して欲しくない行動に対してはあらかじめ予告し、時間の制限を伝えたり、その行動が出来ない状況を事前につくってしまう、といった工夫です。こちらからすべきことを明確に指示する、二つ三つの行動を提案し、子どもに選択させるのもいいでしょう。「~したら、~できる」という取り決めも有効な手段です。子どもと駆け引きをするようなものですが、子どもの興味の度合いを知った上での選択であれば、子どもの気持ちを十分に尊重したやり方です。頭ごなしに「ダメ」と云われるより、子どもは自分の存在が認められていると感じると思います。

④ 罰

 行動の後に不快感を与えることが罰です。不快な感情を抱けば行動が消去されるのは確かです。しかし、好ましいやり方とは思えません。

 数十年前までの日本の学校現場では、問題行動を起こした子どもは頬や頭を殴られたり(ビンタ、ゲンコツ)、廊下に立たされたり給食抜き、などということがあたりまえでした。何かというと体罰の時代。現代では許されないことです。

 この10年ほどの間に、発達障がいとされる子どもは随分と増えてきたと云われています。一方で、実質的な割合は昔と変わっていないという話も聞かれます。私の小学校時代にも、「こいつなんか変わってんなあ・・・」という同級生は何人かおりました。おそらくは、私もその一人であったと思います。「佐久間くんはどーしてそんなことばかりするの!」と、教師からのダメ出しの日々でした(笑)。

 ここからは私の勝手な憶測です。昔であれば、集団生活に適応出来ない「外れた」子どもたちのほとんどは、罰で支配されていたのではないでしょうか。罰を受け続けるうち、子どもは行動する意欲を失い、悪い面ばかりでなくいい面も含め、かけがえのない特性を失っていったのです(私のように、発達障がいの特性を持ちつつも、成長過程においてなんとか社会性を身につけ大人になったケースもおります。そういう大人も実は多いのです)。

 罰を与えることは、大人が満足するだけのことです。子どもにとっては何の利益もありません。罰を繰り返すうちにエスカレートすることもあり得ます。それはもう虐待です。また、罰が「注目」となり、かえって問題行動が強化されることもあるでしょう。

 罰は用いない支援が賢明です。

「知らんぷり」や「DRO」などの対処法は、行動分析学にもとづく応用行動分析(Applied Behavior Analysis:ABA)の技法として知られています(ページトップの提示文献6参照)。

 頭では理解出来ても、実践は中々に難しい面はあります。1回でうまくとは限りません。むしろ、1回でうまくいかせようなどと考えない方がいいでしょう。何回も失敗を繰り返し、そうのうちに少しづつうまくいくようになればいい。そんな気持ちで取り組んでいただければと思います。

 実際には「知らんぷり」と「ほめる」の使い分けが難しいとされるところです。それについては、「ペアレント・トレーニング」といった子育て支援プログラムでも取り上げられています。保護者の自己トレーニングのために有用です。

ペアレント・トレーニング

「ペアレント・トレーニング」とは?

「ペアレント」は親で、そして「トレーニング」。
「ペアレント・トレーニング」と聞くと、なんですか親が「筋トレ」みたいなイメージを抱かれるかもしれません。
 違います。
 そうではなくて。

 上の「行動分析学」の前半でお話しした、「ほめる」と「知らんぷり」。
「ごほうびあり=強化子」と「ごほうびなし=強化子なし」を如何にして生活の中に取り入れるか。そのための実践演習、のようなものです。

 

 話の流れで「発達障がい支援」のページに入れてしまいましたが、発達障がいのある無しに関わらず、全ての子どもたちへ向き合う親、というより大人の姿勢として大切なことのように思います。

 ともかくは、下記の対応を心がけたいものです(相手が子どもに限らず、大人でも高齢者でも)。
 心の声を聴くための、傾聴の姿勢。

 

 特に赤字の部分「否定せず、強制せず」が基本となります。
 否定もしない、強制もしないでは、「しつけができないのでは」と思われる方もいらっしゃるでしょう。

「いけないことはいけない」。それを伝えることはもちろん必要です。ただし、伝え方が問題です。威圧的な上から目線や、感情的に怒鳴るなどは避けましょう。あくまでも、「ていねいに向き合う」。静かに冷静に、さとすように伝えたいものです。

① ペアレント・トレーニングの五つのポイント

  1. ほめる

  2. 知らんぷり

  3. 指示

  4. 予知

  5. 選択
 

 まずは、子どもの行動をほめることからはじめましょう。子どもの「良さ」を見出し、良さだけでなく、あたりまえのことにも目を向けます。
 朝起きる、歯を磨く、ごはんを食べる、トイレへ行く。
「子育て支援ページ」の「変わらなくていいんだよ、あなたはあなたのままでいい」をご覧ください。あなたはあなたのままでいいのです。
 なので、あたりまえに行動する子どもをほめるのです。

ほめる時のタイミング

 して欲しい行動をしはじめた時、して欲しくない行動をしていない時、その瞬間がチャンスです。行動が終わるのを待つ必要はありません。
河口美恵先生は、「パーフェクトを待たなくていい。25%でほめる」をモットーにされています。

ほめられても反応なしの場合

 あたりまえのことをほめられても、嬉しくもなんともないお子さんもいるかもしれません。むしろ、何故そんなことをいちいちほめるのだと、バカにされたと感じるかもしれません。
それならそれでいいのです。いいところだけほめて、あとは放っておけばいいでしょう。

 ただまあ、ほとんどの子どもが親からも学校の先生からも、めったなことではほめられていない現実を、わたしたちは知るべきと思います。
 ほめられるのは、よほど「いい事」をした時のみ。あたりまえのことをしてもほめられることなく、逆に少しでも外れたことをすれば叱られる毎日を送っている子どもたちが、如何に多いことか。

 知らんぷりについては、「行動分析学・①知らんぷり」をご覧ください。

② 行動を3つに分けましょう

 ほめる、知らんぷりを成功させるには、子どもの行動を観察することが大切です。
 往々にしてわたしたち大人は、「良い行動・あたりまえの行動・良くない行動」で子どもを観がちです。これからは、変えていきましょう。

「良い・あたりまえの行動」を「好ましい行動」としてほめる対象に。

「良くない行動」でも、自分や他の誰かが傷つかない、決めたルールを破らないのであれば「好ましくない行動」として、知らんぷり。

 知らんぷりすべきでなければ、「危険な許しがたい行動」として制止します

 好ましい行動と好ましくない行動、許しがたい行動の区別が、難しい場合も多くあります。だからこそ、「トレーニング」なのです。
 これがうまくいくと、子どもの行動は確実に好ましい行動へシフトしていきます。

 何より、一番楽になるのはお母さんだったりします。だって、ガミガミ言わなくてすむようになるから(笑)。

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発達障がい支援制度

 発達障がいとされるお子さん本人やご家族を、経済的な面を含め支援する制度がいくつかあります。ご存知の方はご存知なものの、ご存じでない方はまったく知らない。そんなケースに度々遭遇します。
 支援制度のため、市町村の行政が主体となり説明しお勧めするべきことですが、行政サイド(特に自治体保健師など)さえ内容を十分に理解していないこともあります。

 各種ある支援制度について、私が把握している範囲で紹介いたします。

経済的支援としての手当て①②(児童のみ)と、サービス提供のための手帳③④⑤(児童・成人)、障害年金⑥(成人のみ)について。

 細かい規定については地域差もあるようです。ここでは福島県の場合を中心にお話しします。

① 特別児童扶養手当

 定義としては下記です。
「精神または身体に中度または重度の障がいを抱える20歳未満の児童を養育している父もしくは母、または児童を養育している方へ支給される手当て」

 障がいについての診断名(知的障がい、自閉スペクトラム症など)、重症の程度を記載した所定の診断書を含めた書類を行政に提出することで、支給が決定されます。
 重症度の目安の一つに知能指数(IQ)が挙げられますが、食事・排泄などの身辺処理、対人関係などの社会生活能力などを総合的に判断しての判定となります。必ずしも、IQのみで判定されるものではありません。

 厚労省HPによれば、児童1人についての支給額は、

  • 1級(重度障がい児):52,500円/月
  • 2級(中度障がい児):34,970円/月

 とされています(全国共通)。

https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jidou/huyou.html

 ただし、福島県でのIQによる大まかな目安として、知的障がいでは35未満が1級、36~50が2級のレベルとされています。自閉スペクトラム症ではIQの規定はありません。

(医学的にも一般的にも、IQとしては70未満を知的障がいとみなすことがほとんどです。IQが50を超えれば知的障がいの診断が認められないこの制度には、正直なところ疑問を感じます)

 また、養育者の所得額により、手当が支給されないこともあります。まずは受給対象になるかどうかの確認が大切です。

② 障害児福祉手当

 精神又は身体に重度の障害を有し、日常生活において常時の介護を必要とする状態にある、在宅の20歳未満の児童に支給されます。
 特別児童扶養手当1級に相当するケースが対象となることが多いようです。
 支給額は14,880円/月です。

 特別児童扶養手当と同じく、養育者の所得額により手当が支給されないことがあります。ご注意ください。

③ 療育手帳

 知的障がい者(児童に限らず成人も含みます)が、公的な支援サービスや民間事業者により提供される各種のサービスを受けやすくするために交付されます。
主なサービスに下記があります。

  1. 特別児童扶養手当取得
  2. 心身障害者扶養共済
  3. 国税、地方税の諸控除及び減税
  4. 公営住宅の優先入居
  5. NHK受信料の免除
  6. 旅客鉄道会社の等の旅客運賃の割引 など

 どちらかというと、障がい児(者)本人というより、家族や養育者への支援の感があります。特に児童については就学前、小学校時期に取得するメリットがどこにあるのかおぼろげなのが、私の個人的な印象です。

 ただし、中学から高校へ進学の際、特別支援学校高等部への入学は療育手帳が必要となります。

 福島県では障がいのレベルによりA、Bに分類されています(Aが重度)。A、Bの差異により、受けられるサービスに若干の相違がみられます。

④ 精神障害者保健福祉手帳

 一定レベルの精神障害の状態にあることを認定するものです。年齢による制限はなく、療育手帳同様、児童から成人までが対象となります。
 精神障害者の自立と社会参加の促進を図るため、手帳を持っている方には様々な支援策が講じられています。
 手帳の等級は、精神疾患の状態と能力障害の状態の両面から総合的に判断され、1級から3級までとされています。精神障害が対象のため、療育手帳とは異なり、IQのレベルによる規定はありません。

 受けられるサービスは、療育手帳と重なる部分が多いようです。実際には、市役所や役場などの障がい福祉担当者に教えていただくと間違いがないでしょう。

 なお、取得の際に提出する診断書は、初診日から6ヶ月以上経過した医療機関による作成でなければ申請を受け付けないという決まりがあります。

⑤ 身体障害者手帳

 身体の機能に一定以上の障害があると認められた方に交付される手帳です。

 ※③療育手帳、④精神障害者保健福祉手帳、⑤身体障害者手帳を総称し、障害者手帳と呼びます。

⑥ 障害基礎年金

 一定の障害を抱える場合に受けられる年金制度です。年金ですので20歳以上が対象となります。知的障がいのように、児童期からの障害の場合は20歳になった時点での申請により年金支給可能となります。

 年金支給額は、1級障害と2級障害に区分されます。下記のようになります。

  • 1級:他人の介助を受けなければ、ほとんど自身の用を足すことができないレベル
    支給額:976,125円/年(月額81,343円)
     
  • 2級:必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難なレベル
    支給額:780,900円/年(月額65,075円)

まとめ

 発達障がいを中心とした支援制度を記載しました。精神的な面にのみ着目しましたが、①②の手当てでは、身体障がいの児童も対象となります。

 ③④⑤の障害者手帳については、障がいがある人が必ず取得しなければならないものではありません。必ずしも、手帳の交付を周囲に伝えなければならないものでもありません。あくまで、障がいを抱える児童やその家族が、学校や施設など、周囲の人々に障がいについての理解が必要と考える場合に利用するものです。取得後も、不要となれば返還も可能です。

 どのような目的のためにどの手帳を取得するのか、メリットは何なのか。単に「一応取っておけばいいから」などの行政サイド(特に自治体保健師など)やスクールカウンセラー(と称する人々)の無責任なアドバイスに惑わされないよう、お考えいただきたいと思います。
 繰り返しになりますが、市役所や役場などの障がい福祉担当者に教えていただくことをお勧めします。

 また、申請の際には①〜⑥の全てで医師の診断書が必要となります。当院では、①〜④のみ対応可能です。⑤、⑥については専門外領域となります。①〜④についても、当院かかりつけの患者さんのみ対応させていただいております。診断書には所定の様式が定められています。この点についても、あらかじめ障がい福祉担当者にご相談ください。

 何卒よろしくお願い申し上げます。

障がい児(者)とされる方とそのご家族が、経済的にも法的にも十分な支援を受けられることを願います。

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支援なき診断は無意味

 発達障がいでは、早い時期からの医療的な介入や、適切な療育方針や態勢の確立が重要となります。医療的介入の第一歩として、きちんとした診断をつけることが挙げられます。
 診断名、重症度が把握されることにより、子どもさんそれぞれの特性に合わせた対応が可能となります。
 また、診断を受けることにより、療育手帳などの福祉サービスが受けられる場合もあります。保育園では、その子のための支援員などの人的援助が受けられたり、学校では特別支援学級の設置が可能になることもあります。

 診断は、児童精神科医や心療内科小児科医などの専門家により成されますが、子どもさんの保護者(多くの場合ご両親、ご両親のいずれか)が、診察や検査を受けることさえ拒まれることがあります。
 言葉では表わせない、いろいろな想いがあるかと存じます。
 しかし、レッテルを貼るだけが医療の目的ではありません。子どもさんにとってのよりよき環境をつくるための、大切なステップとお考えいただければと思います。

 ただ、残念なことに。
 診断がついても、その後の療育や保育についての適切なアドバイスが成されないケースが少なからずあります。発達を支援する専門施設に関われればいいのですが、それさえもなく、保護者もどうしたらいいかわからず右往左往している状況。そのような時こそ、地域の医療機関や行政がしっかりとした方向づけのお手伝いを心がけたいものです。

 それ以上に困るのが、軽度発達障がいにありがちな、症状が軽度、それでも保育園や幼稚園、学校での集団生活に差し障りがある場合です。診察や検査を受けても、「・・・の疑い」病名しか下されない、具体的な(対応に関しての)アドバイスもなく、「しばらく様子を観てください」としか伝えられなければ、保護者も、園や学校も困り果てるしかありません。「何の様子を、どのように観ていけばいいのか」と。
 診断をつけたのならもちろんのこと、診断がつけられない状況でも、その子どもさんに対してどのような対応、どのような発達支援をすべきかを、しっかりと提示・アドバイスしていくべきでしょう。

 言い換えれば。
(やや言い過ぎの感があるにしても)支援がきちんと成され、子どもさんの発育に適切な環境が整えられるのであれば、診断名などどうでもいい、ということにさえなります。
 自閉スペクトラム症であれ、注意欠如・多動症であれ、必要とされる適切な支援の手を差し伸べることを最優先に考えるべきです。
診断をつけるだけで終わってはいけません。満足してはいけません。
子どもさんにとっての安心できる居場所づくりこそ、何より重視したいものです。

 支援のための診断なのです。
支援なき診断は無意味です。

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